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北海道遺産はこうして生まれた
北海道遺産20周年・勝手に女子トーク
北海道遺産を生み、育て、そして、成長していく様子を見守ってきた4人の女性。誕生秘話や辻井先生の思い出、北海道遺産への思いがいっぱいです。
藤島京子さん(左から2番目)(1997~1999 構想策定時)
横田喜美子さん(左端)(2000~2002 第1回選定時)
甲谷恵さん(右から2番目)(2003~2005 第2回選定時)
矢野ひろさん(右端)(2010~現在 第3回選定時)

卵を産んで、かえして。
歩き始めて、成長していく
北海道遺産

藤島 ---- 私は、1997年に当時の堀達也知事が提唱した「北の世界遺産構想」を形にすべく、道庁の様々な部署から公募で集まった、通称「赤れんがプロジェクト」のメンバーの一人。リーダーの辻井達一先生は「僕は文鎮。みんなの意見が吹き飛びそうになったら押さえるから自由に意見を出そう」と言ってくださり、私たちは思う存分議論をし、道内各地や屋久島にまで訪れて多くの意見を聴き、民間の方々から厳しくも前へ進むための助言を山ほどいただきました。時にはもがきながら真剣に楽しく北海道遺産構想の原型を作りました。

横田 ---- 私は、そのバトンを受け取った、当時の道庁地域政策課の担当職員。第1回選定は、「道民の宝物」として選ぶのだから道民に知ってもらい関わってもらおう、と候補を募集。1年間かけて広報をして1万6千通が集まり、重複を省くと候補は4千件。そこから選定委員で絞込み、現地視察をして、大議論の末25件が決まりました。上士幌のアーチ橋や中世の館など、知ってみるとなるほどこんなに大切なものがあったのか!というものが選ばれたと思います。中にはラーメンなどがあり、遊び心もあって、メディアも道民もとても興味津々。「北海道遺産構想推進協議会」という民間組織で選定したので思いきりの良い選定になりました。「卵」がかえってしっかりと歩き始めたと実感しました。

甲谷 ---- 私は、横田さんの次の道庁の担当者。すでに動き始めて人格も形成されつつあった「北海道遺産」に共鳴し、我が子のように愛し一緒に育ててくださる企業の方々が増えた時期です。例えば、(株)太陽グループは、選定地域を応援しようと「太陽地域づくり財団」を設立し助成制度を。シィービーツアーズ(株)(当時)は、「北海道遺産バスの旅」と称して、新しい学びの観光に仕立て上げてくれました。他にも、テレビ番組や特集記事、子供向けの本、グッズ、お酒など実に様々な応援の形が生まれました。他県からの視察やヒアリングも増え、みんなで育てる風が吹き始めている中で第2回選定。新たに27件が誕生しました。選ばれなかった方々から、「なぜダメだったのか」とたくさんの声がありました。「ダメ」ということではないので辛かった。それだけ地域は真剣だということも痛感しました。

矢野 ---- 私は事務局として10年あまり北海道遺産の成長をみなさんとともに見守ってきました。この間に伊藤園様や「ほっかいどう遺産WAON」による助成も生まれ、活動が安定してきました。2018年、北海道命名150年という節目の年に、第3回選定を実施することができました。

北海道遺産ってなんだ?

藤島 ---- 北海道は宝物であふれているのに、北海道の素晴らしさの裏側にある歴史や物語や先人たちの苦労、そして、今、当たり前に自分の回りにあるものの価値に多くの人が気づいていないと感じていた。この構想で一番表現したかったのは、『足元の宝物に気づく』ということ。

横田 ---- 実は、「北海道遺産」という名前を聞いた時は、古いモノを保存していく…という印象で、それほど自分のテンションは高くなかった。でも、辻井先生が話す「北海道遺産は、大切に飾って見ているだけのものではない。いわば、『未来への資産』であり、元本の上に利益を生み出し、使い磨いて未来へつないでいくもの」という考え方が、とても興味深く、プロジェクトを進めながら実感しました。

甲谷 ---- 自分は「北海道が好き」と、なんとなく思っていたけれど、北海道遺産と出会って本当に北海道が好きになった。北海道遺産は『北海道プライド』。私たち道民の誇りにつながる数々の物語だと感じる。北海道遺産の中から、日本遺産や世界遺産まで誕生していることはとてもうれしい!

藤島京子さん(左から2番目)(1997~1999 構想策定時)
横田喜美子さん(左端) (2000~2002 第1回選定時)
甲谷恵さん(右から2番目)(2003~2005 第2回選定時)
矢野ひろさん(右端)(2010~現在 第3回選定時)

矢野 ---- もっと楽しく気軽に北海道遺産に触れるきっかけをつくりたいと思っています。一つひとつの遺産を多くの人たちと共有したい、それが『シェアリングヘリテージ』。第3回選定から大切にしている考え方です。第4回選定も未来の人たちに伝えたい北海道のストーリーを掘り起こしたいです。

2012年に辻井先生が「ラムサール湿地保全賞科学部門」を受賞した際のお祝い会にて。ユーモアを添えて「湿原大賞」ならぬ「失言大将」を贈呈。

もっと普段から
北海道のことを語り合いたいね

藤島 ---- 北海道遺産や北海道のことを、普段から話して盛り上がれる機会があるといいよね。私は北海道の物語を知ってほしくて、うちの若手職員に研修しているの(笑)。

横田 ---- 北海道のことが話せる、聞ける、みたいな居酒屋なんてのも良いね。

甲谷 ---- 「いいじゃないか、それは愉快だ!ぜひやろうぜ」。お茶目でユーモアたっぷりだった辻井先生の声が聞こえてきそうだね。20周年の報告にお墓参りに行ってこようか。

「次世代に引継ぎたい北海道ならではの宝物」 ------ 北海道遺産
北海道遺産 20周年記念 特設ページ