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北海道遺産探訪記「オホーツク地域の北海道遺産を訪ねて」 北海道遺産探訪記「オホーツク地域の北海道遺産を訪ねて」

オホーツク地域の北海道遺産を訪ねて

力強く黒煙をあげて森の中を走る。

人々に愛された「雨宮21号」

遠軽町丸瀬布地域は、四方を山岳に囲まれ、総面積の9割以上が山林原野の豊かな自然に恵まれた地域だ。この地域は、林業の発展とともに栄えてきたまちであり、その伸展に雨宮号の果たした功績は計り知れない。

「雨宮21号」が丸瀬布〜武利意間の森林鉄道に配置されたのは、1928(昭和3)年。以来、戦中から戦後にかけて、国有林から切り出した丸太や生活物資を搬送してきた。しかし、昭和30年代、農家戸数が減少し、木材業界も不振、国有林野事業の縮小もあり、森林鉄道の役目も終わりを迎えつつあった。1957(昭和32年)、雨宮号のスクラップ案が浮上した。住民有志の保存活動が走り出したが、1963(昭和38)年、森林鉄道廃線。その後、何とかよみがえらせたいという多くの人々の思いが結実し、雨宮号は営林局から丸瀬布町(当時)に譲渡された。現在は「森林公園いこいの森」で道内では貴重な動態保存され、実際に乗車して力強い走りを体感することができる。今回のモニターツアーでも体験乗車した。蒸気機関車になつかしさを感じる人も多いようだ。子どもたちは力強く煙を上げながら走る機関車に見とれていた。ちなみに、雨宮21号の保存に関する町の人々の活動は絵本にもなっている。

雨宮21号が保存されているいこいの森からさらに奥へ少し進んだところにはマウレミュージアムという郷土博物館がある。かつての小学校校舎を使った博物館で、さまざまな分野の展示が充実している。校庭もそのまま保存され、とても魅力的な空間が広がっている。合わせて見学されることをおすすめしたい。

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